【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】26「ももたろうのつづき」

2022年6月6日

「ももたろうのつづき」の手書きのような文字

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

今回は 「ももたろうのつづき」をご紹介します。

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この作品は、桃太郎が鬼退治をしたその後を妄想して演劇化した作品である。


作品は、紙芝居から始まり、

鬼退治のシーンはラップにのせて、

桃太郎の続きの部分は演劇になっている。


元々鬼は、人間から嫌われていたため、盗むことでしか生計をたてられなかった。

だが、ようやく静かに暮らせるようになったところに、桃太郎達が来て、暴力をふるった。

鬼は確かに人間から宝を盗んだが、桃太郎はその宝を盗んだ。鬼たちはそんな桃太郎を恐れ、恨んでいた。


桃太郎は鬼から盗まれた村の人に返すために宝を盗んだのだが、その中に、赤鬼の娘、鬼子が大事にしていた人形があった。

怒った鬼は人形を盗んだ桃太郎達に対して「民事訴訟を起こす」と言う。


だがその人形をハシビロコウが食べてしまい、

気づいたときには便として出てきてしまっていた。


桃太郎とハシビロコウは鬼子に謝りに鬼ヶ島へ行くことになる。

鬼子の家にたどり着くと、ハシビロコウは鬼子に一目ぼれをする。

そして鬼子は人形はどうでもいい。だが、鬼子の母がモンスターペアレントで、

「訴訟を起こすと言っている」と言う。

鬼子の母は、暴れて仲間の青鬼も巻き込み、わけがわからなくなりいわゆる"カオス"な状態になる。

カオスな状態になった鬼は冷静になり、桃太郎のこともどうでもよくなった。


桃太郎はその時、お母さんの記憶が蘇った。

おばあさんとおじいさんから育てられた桃太郎はお母さんなんていないと思っていたが、

まだ生まれたばかりの頃に、桃の中にお母さんに入れられた記憶が蘇った。

鬼にそのことを話すと、明日桃太郎のお母さんを探しに行こうと、鬼が手伝ってくれるという。


物語はここで終わり、無事に桃太郎のお母さんと会うことができたのか、

ハシビロコウの鬼子への恋は実ったのか、ももたろうのつづきの続きは見る側の

想像に任せるということで終わった。

私も、この作品を観終わった後、桃太郎は無事にお母さんと会えたのか、

鬼から食べられたりしてないか、いろんな想像をした。

見ている側の想像力を膨らます作品だと思った。

また、子どもにもわかりやすく作られており、難しい言葉を言った後は必ずその説明をしていた。


この作品には、"カオス"や"モンスターペアレント"等、今の言葉を織り交ぜている。

また、川で洗濯をしている頃と、洗濯機がある今と比較をし、今の生活がどれだけ便利なものか語っているところもある。


桃太郎の世界観と言葉が全然合っておらず、それが逆に面白かったし、

今まで桃太郎にあったイメージが覆された。


物語の進み具合が早く急展開が多かったが、昔話をアレンジし続きを加えるのはとても楽しいと思った。

桃太郎では、鬼=悪というイメージがあったが、この作品では、鬼は「お母さん」と呼ばれると

誰でも自分の子どものように思ってしまうと言っていたり、この作品では鬼も人間と変わらない、

それ以上に優しい生き物に見えた。


そしてこの作品は役者さん3人で回している。一人2~3役でやっているため、

声のトーン、話すスピード、抑揚を役によって瞬時に変えていたのが印象的だった。


また、この作品はオリジナルの他にバリアフリー日本語字幕がある。

バリアフリー日本語字幕では、セリフだけでなく、音楽が流れているシーンには♪のマークがついていて、

ギターの音だったり、音の説明を文字で表している部分もある。

だが、この作品には音声ガイドが無い為、盲者は会話しか聞くことができないのが残念だと思った。


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