【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】30 「娘」

2022年7月25日

「娘」イメージ。暗い表情で向かい合う「父」と「娘」の人形。

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

少しずつ紹介してきましたが、今回は第30回。

」という作品をご紹介します。

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この作品は、とある誤解から壁ができた父と娘の関係をテーマにした作品だ。


余命がわずかな父の病室で、娘は窓にぶつかった小鳥を見て昔を思い出す。

小さな頃に死んだ小鳥を見つけ悲しんだ時、父は娘を抱きしめてくれなかった。それ以来父と娘の間に壁ができてしまう。


喧嘩をしても、仲違いをしても、時間は待ってくれない。

父とすれ違った時間はもう戻ってこない。

父と娘はどうすれば最期に笑い合えたのか。


私は家族と壁は無いが実家から離れた場所で一人暮らしを始めて、

「私は、あと何回両親に会えるのか】と考えるようになった。

実家暮らしをしているときは毎日両親に会っていたので、そんな風に考えることは無かったが、

一人暮らしを始めると親が平均寿命まで生きたとしてもあと20年程。

年に1回しか帰らなかったら20回しか会えない。

また、祖母ともなればいつ会えなくなるかわからない。

両親も祖母もまだまだ元気だが、

「もしかしたらあと何回かしか会えないかもしれない」と思うと

なるべくたくさん帰って両親や祖母にたくさん会い、家族と過ごす時間を増やしたいと思うようになった。


この作品では、説明が無いのではっきりとはわからないが娘が誤解と気づいた時には父は亡くなる寸前だったのだろうと思った。

生きている間に誤解が解け、また抱きしめることができたからよかったのだが、欲を言えばもう少し早く気づいていればもっと二人の時間を過ごせたと思う。

娘が街を離れるときお父さんは心配そうにしていたし、

娘も見送りに来ていた父をずっと見つめていた。

二人の間に壁があったとしても、お互い「仲直りをしたい」と思っていたと思う。

結局わだかまった時間に負けてしまったが、

どちらかが残された時間を優先し、素直になっていたらもっと二人の時間をたくさん過ごせたのかもしれない。

そのまま時が過ぎ、父が亡くなる寸前までお互い何も言えずに誤解が解けないままだったのでもったいないと思った。


この作品は人形を少しづつ動かして撮影をするコマ撮り手法で制作されたアニメーションである。

この作品には言葉を使わずに、登場人物の表情や動きのみで物語が動いている。

そのため、作品の意図を読み取るのは難しいと思った。

理解はしたつもりだが説明がないから観る側によって解釈が変わる作品かもしれないと感じた。

だが、人形の表情や顔色まで変わるので、表情や顔色などを変えながら少しずつ撮っていくのは莫大な時間がかかると思う。

このアニメーションはかなりの時間をかけて製作されたものだと思った。

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