【社長ブログ】3 「情報の同時性」という名のアクセシビリティ

2022年8月15日

内閣府のサイトのスクリーンショット

今年の5月25日、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案」(いわゆる、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案)が公布・施行されました。

障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策の推進
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jouhousyutoku.html

この法案自体は理念法であり、これにより罰則や制限などが設けられることはないのですが、今後施行される法律にはこの理念が常にベースとして入ることとなります。

情報アクセシビリティに関する取り組みとしては大きな一歩となります。

「同一の時点」という時間の概念

今回はこの中で私が個人的に最も興味をそそられた一文をご紹介いたします。

(基本理念)
第三条
障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。


今までは「アクセシビリティ」というと「同一の内容」を伝えることを重要としていましたが、今回はそれに加えて「同一の時点」という時間の概念が入ってきました。

理由は東日本大震災

この一文が入った理由は 2011年の東日本大震災に遡ります。

この震災は津波が多くの生命を奪いました。この時、町内放送で高台に避難するように何度も放送があったにもかかわらず、それらが聞き取れない人達が多くいました(町内放送ってもともと何言っているのか聞き取れないことが多いですよね、高齢者ならなおさらです)。何が起きているのか分からないまま、周りが騒がしくなります。そして近所の人から高台に逃げるように催促されます。この時、「避難しても帰る場所が無くなったとしたら、これからも迷惑かけっぱなしになってしまう」とか「家が流されるのであればその時はその時」と非難をあきらめた人が沢山いらっしゃったと聞いています。

もしこの時、テレビのニュース速報なり、防災ラジオなりで正しく情報が伝わったとしたら、そして例えば娘さんが買い物に出かけているとしたら、この人はおそらく全力で娘さんを探しに行っていたのではないでしょうか?娘さんを助けるために一生懸命一緒に避難するのではないでしょうか?

情報を受け取る順番は生命のモチベーションさえも左右します。

身近なところにも

例えば身近なところでは、ハリーポッターや村上春樹の小説など、発売当日に行列をなして購入する人がいる一方で、数か月後に点字書籍になるのを待っている人もいました。もう誰も話題にしなくなった頃にやっと読めるようになっていました。最近では Amazon に「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能)」という項目があり、有効になっている書籍はAlexa などが(多少の漢字の読み間違いはありますが)読み上げてくれるようになりました。発売日に視覚障害者も一緒に楽しむことが出来るようになりました。一緒に同じ話題に入って行けるようになりました。

仕事の上でも

会社でも視覚障害者は「後で説明します」と言われたり、聴覚障害者は会議や朝礼には出席せずに議事録で内容を確認したりする会社は今でも多いと思います。それらも最近ではUDトーク等、「同一の時点」で確認できるようなツールも増えてきています。一緒に参加することでモチベーションを落とすことなく仕事ができます。

これからこういったツールが沢山出てくると思います。楽しみです。

まとめ

ということで、情報を受け取る順番は生命のモチベーションさえも左右します。それをしっかりと心に刻み、「後で議事録を送ります」などの対応をしていないか、それによって相手のやる気を損ねていないか、今一度私も考えてみたいと思います。


関連リンク

ページトップへ移動