【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】36 「参加型アニメ『まるっとみんなで、ももたろう』」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
第36回は「参加型アニメ『まるっとみんなで、ももたろう』」をご紹介します。
---------------------------------
まるっとみんなでももたろう
この作品は千葉ニュータウンナーサリースクールの子どもたちが描いた紙芝居の様な絵を題材とし、子供たちが歌う「ももたろうの歌」の音声を流したアニメーション作品だ。
子どもたちが描く絵は、緑で描いた桃太郎や、茶色ではなく水色やピンク、黄緑を使って描いたカラフルな色のサル、カラフルなキジ、ピカチュウの様な生物、サンタさんや妖精も描かれている。
ももたろうの物語に、ももたろうとは関わりのない生物がたくさん出てきたり、
サル=茶色といった固定概念のない子どもたちの自由な発想を観ることができて面白いと思った。
また、この絵を描いているのは一人ではないので、同じキャラクターでも全く違う姿で出てくることがあり、それぞれの子どもの個性が出ていた。
そして、子供たちが歌う軽やかな歌、子供たちの描くカラフルでかわいい絵、昔話だけど昔話とは程遠い、そんな作品だった。
子供たちが歌うももたろうの替え歌に、
桃太郎が鬼をやっつけているとき、鬼は抵抗せず、やられっぱなしである。
どうして刀を抜かぬのだと桃太郎は鬼に問う。
すると鬼が、「刀を抜くのではなくぬくもりを、この手を握ってくれないか」と言っていたのが印象的だった。
鬼が宝を盗んだのは、人間から相手にされず世間から孤立し、孤独な思いを抱いているという背景があったのではないかと考えさせられた。
昔話の誰もが知っているももたろうとは少し違ったストーリーであり、
桃太郎が鬼の手を握り、仲直りをするという終わり方でほっこりするストーリーだった。
動画の説明文に、
この作品は誰もが知っている昔話のももたろうの話の続きを妄想し、アニメーション作品として制作した、
と記載があったが、続きというよりはももたろうでは省略されている場面が描かれた作品という印象をうけた。
善を勧め、悪を懲らしめることが綴られることの多い童話や物語が、反対側の見えていない側面を描写することは少なく、
鬼が何故人間に悪さをしたのかという思考でももたろうを見たことが無かったので、
悪役である鬼の視点からみたアナザーストーリーの様に思える作品だった。
色々な物語や童話、映画を悪役やライバル役などの反対側からの視点で観てみたくなった。
例えば舌切り雀の大きなつづらを選んだおばあさんは、もしかしたら何かの支払いに追われていたのかもしれない。
月に帰っていったかぐや姫はその後どうなったのだろう。
そんなアナザーストーリーがあったらとても興味深いと思った。