【寺島ヒロアドバイザーコラム】4「6歳違いで生まれた妹も自閉症」
こんにちは、寺島ヒロです。
前回のコラムで、わたしの息子がASDを持って生まれたこと、そして当時はそのことがなかなか分からなかったことを書かせていただきました。今回は6歳違いで生まれた妹のいっちゃんのことを書いていきたいと思います。
我が家の長女、いっちゃんが生まれたのは2007年。ぼちぼち発達障害というものがあるらしいという事が広く知られてきたころでした。「アスペ」「空気を読めない脳」などの言葉も、ネットでちらほら見られるようになってきたあたりです。
兄のタケルに発達障害があることがわかったのは2008年、いっちゃんが1歳のときです。タケルのことがあったので、いっちゃんが生まれたときには親の方にも少しは「見る目」みたいなものが出来ていたように思います。いっちゃんにも、ちょっと変わった感じのする赤ちゃんだなあという印象がありました。
寝つきの悪さ、音への敏感さに加えて、人との接触を嫌うところ、あやしても話しかけても笑ったり視線を向けることがないところが気になりました。誰かが近くを通っても関心を向けることはなく「ふんふん」と言いながらずっと空中を見つめています。
特に、人との接触を嫌うのは徹底していて、まだハイハイもできないのに抱き上げるとぐずりだし、身をよじって逃げ出そうとします。お父さんが肩に乗せてやろうとしたときは、プールでターンをするように見事な弧を描いて落っこちました。移動はサッサと瞬時に終わらせるか、一旦椅子に座らせて椅子ごと運ぶしかありません。
特に、授乳時にも暴れるのには参りました。おっぱいに吸い付いたまま足で肋骨から脇腹の辺りをガシガシ蹴って離れようとするんです。「それは外れないのよ!やめてー!!」と言っても通じるわけはなく、いつも青あざでいっぱいでした。そこで手で母乳を絞って哺乳瓶に入れ、椅子に座らせて飲ませるという奇策をとることにしました。あるべき母親像にうるさい人が見たら絶対何か一言言いたくなるであろう光景ですが、いっちゃんはこれを気に入り、3歳ごろまでこの体勢でミルクを飲んでいました。
他にも「怪我に対する感覚の鈍麻」「光についての過敏」「興味のあることに対する反復的な行動」「身体の動きがぎこちなく、極端に不器用」など…自閉症の子どもによくみられる特徴が表れていました。また、5歳ごろまでほとんどしゃべりませんでした。こちらの言っていることは完全に理解しているようなのですが...。
発話に問題のなかったお兄ちゃんと違い、言葉が出ないという自閉症に特徴的な症状があったいっちゃんは、療育センターに連れていくと、すぐ「自閉症傾向あり」と認められ、同センターで感覚統合などのリハビリを受けることになりました。確か始めたのは3歳の頃だったと思います。
人と会話はしませんが、音楽が好きで、1歳の時からテレビや店内放送で聞いた歌を憶えて歌い、3歳ごろには耳コピでピアノを(両手で!)演奏したりしていました。絵を描くのも得意です。「極端な不器用」なのに...?と思われるかもしれませんが、机などに体を固定して指先だけ繊細に動かすことは可能なのです。でも全身でバランスを保ちながら何かをするということは苦手なので、静止した状態からバスケットのゴールにボールを入れることはまあまあ出来ますが、走って行って投げ入れるのはほぼ無理だと思います。集中したところ「だけ」はいいけど、他がみんなお留守になるというかんじでしょうか。
現在娘は15歳。小学校通級指導教室を経て、中学校はコロナの影響もありほぼ不登校で通しました。小5ぐらいから顕著になってきた睡眠障害もあり、今は通信制の高校の1年生です。学校では美術部に在籍していて、Vtuberを作る等の活動をしています。イマドキっぽいですね。
睡眠障害の悩みや、不登校になったときのことは、またの機会に書かせていただきたいと思います。
※なお、今回挙げさせていただいた娘の自閉症的な行動は、あくまで私が違和感を感じたところです。お子さんにこのような行動があれば直ちに発達障害があるというわけではありません。個々の事例については専門の医師、又は機関にご相談ください。