【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】38 「へんしんっ! 」

2022年11月21日

へんしんっイメージ画像。「先行配信!体とからだ、人とひと。ちがうをつなぐ、こころとは。」「バリアフリー配信あり。まるっとみんなで映画祭2022」の文字」

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

第38回としてへんしんっ!をご紹介します。

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電動車いすに乗って生活する石田智哉監督が障害者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー映画。

映画製作を通して、全盲の俳優やろう者、手話を使ったパフォーマー等、様々な立場の周囲の人を巻き込み、対話をすることで映画の作り方が変化していく作品である。

この作品は、第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2020」グランプリに輝いた。


この作品では、全盲者とろう者の人が対話するシーンがある。

手話は見えないから使えず、話すことも聞こえないからできない。

目が見えない、耳が聞こえない人同士では会話が成り立たず、通訳者がいないと会話をすることができない。

ろう者同士の会話はスムーズにできても、違う立場の方と会うとコミュニケーションをどうとったらいいか戸惑う。

特に盲者とは通訳者が居て初めてバリアが無くなると当事者は語っていた。


また、監督も身体に障害がありみることは出来ても手話を自分でやるのには限界があると話していた。

健常者と障害者の間に壁があるのと同じように、障害者同士の壁がある気がして、

それを壊せることができたら面白いなと思う。と監督は語る。


この作品は、ろう者や全盲者等全く違う立場にいる方々が対話し。

監督自身が殻を破って変身することで新しい関係、新しい発見が生まれることを描いていた。


映画の後半で、振付家兼ダンサーの方に「車いすを降りた石田君がどんなふうに動くのかを見てみたい」と誘われ、石田監督もパフォーマーとして舞台に立つ。

他のパフォーマーと手を触れ合いながら、表現をしていた。

石田監督は、障害があってできないことが見えてきたり、意識することが多くて,

身体が動かないから表現活動、さらにダンスは物理的に無理で自分の感覚では一番縁遠い存在だったので、

障害を持った身体が表現することができるんだって思えて、

自分の身体を少し肯定的に捉えられるきっかけを与えてくれて表現活動を通じて可能性を感じられたと語っていた。


ダンスは自分で自由に動ける人だけがやるものではなく、誰にでも表現することは当然の権利だと思った。

またこの映画は言葉で説明するシーンが多く対談のシーンが多かったが、

ラストシーンはみんなで創作ダンスを踊っていた。

みんな楽しんでいて顔がイキイキとしていた。

みんなで手を取り合い、支え合う。

目指す場所はそんなに高いところにあるわけではない。

ラストシーンでそう感じた。

ろう者の合唱、全盲者の描く絵、色々な可能性や発見がありそうな気がした。


この作品はオリジナルの他に音声ガイドや日本語字幕、英語字幕、韓国語字幕があるので海外の方にも観てもらえる作品だと思う。

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