【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】46 「めにみえない みみにしたい マームとジプシー」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
第46回は「めにみえない みみにしたい マームとジプシー」 です。
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この作品は子供から大人まで一緒に楽しめる作品をテーマに、
演劇作家の藤田貴大がさいたま芸術劇場と共に初めて取り組んだ演劇作品である。
四姉妹の末っ子の女の子はおねしょをすることに悩み眠れない夜、飼い猫のにゃあにゃあちゃんから森に伝わる古い言い伝えを聞き、本当はこの世界に居るはずのない目に見えない生き物を探すために森へ出かける。
森の中には妖精や様々な不思議な生き物が住んでいた。
途中で森で狩りをしている人に出会い、案内してもらう。
案内され古い家に着くとそこには女の子が生まれてすぐに亡くなったはずの母親の姿があった。
そして隣の森との戦争が起こってしまう。
私が一番印象に残ったのは
「この世界は本当に目に見えるものだけで作られているのだろうか。
本当は目に見えないものもたくさんあって、もしかしたらこの世界のほとんどは目に見えていないのかもしれない。
そんなことを考えていた。」
というセリフだ。
確かに普段私たちが見えているものがすべてとは限らない。そう思うとワクワクしてくる。
まだ何もかも信じていた幼い頃に戻ったような感覚になれた。
女の子が生まれた日にお母さんは亡くなってしまった。
ある日一番上のお姉さんに「お前さえ生まれてこなければお母さんは死ななんかったのに」と言われる。
ふわふわしたような子供向けの不思議な物語だと思っていたら、時に残酷で道徳心が問われる瞬間もあった。
戦争というテーマが入っているが全体的に重たくならず、しりとりやじゃんけんのようなゲームも取り入れて
観客を巻き込んだり、子供たちが観ていて飽きない工夫がされていてとても考えて作っている感じた。
大人も子供も一緒にワクワクしたりときめいたり笑ったりでき、大人も子供も一緒に平和について考えるきっかけになる作品でもあった。
この作品は4人の女優さんで成り立っていた。
演技には正解が無く、また目に見えないものという誰も正解のわからない、そして自分も見たことのないものを演じるのはとても難しいと思うが、
迫力のある演技で時にはダンスのような軽やかな動き、歌を聴いているような綺麗な高音、
女優さん一人ひとりの演技に釘付けになった。そして一人で様々な動物を立て続けに演じていたシーンは鳥肌が立った。
この作品は、アクセシビリティなし、バリアフリー字幕、音声ガイド、手話+バリアフリー字幕の4パターンで観ることができ、アクセシビリティに配慮された映像だと思った。