【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】47 「君がいる、いた、そんな時。」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
第47回は「君がいる、いた、そんな時。)」 です。
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この作品は様々な悩みを抱えた小学生と先生がお互いを支え合い大きな一歩を踏み出す作品だ。
クラスメイトから「外人」と呼ばれ、いじめを受けているフィリピンと日本人のハーフの岸本くん。
クラスで浮いた存在だが明るく振る舞う香山君、生まれてすぐに赤ちゃんが亡くなってしまいカウンセリングを受けながら働いている図書室の先生。
そんな様々な悩みを抱えた不器用な3人の物語である。
学校や家族という逃げられない小さなコミュニティーの中で何かしらの問題を抱えて生きているのが観ていて心苦しかった。
3人に当てはまるのは生きづらさであった。
大人でも子供でも、生きづらさを抱えて生きている。
だが、3人で過ごす図書室での時間は平和そのもので生きづらさを忘れられる空間だと思った。
しかしある事がきっかけで図書室の先生は学校に来なくなり穏やかな時間を送る事が出来なくなる。
その時間を取り戻すために岸本君と香山君はある計画を立てる。
香山君は学校では放送部でDJ香山として誰も聴いていないが給食の時間に放送をしている。
クラスで浮いた存在だが、明るく振る舞う一方で家では父親からDVを受け父親に怯えて過ごしていた。
学校で明るく振る舞っている香山君を見て、いつも笑って過ごしている人ほど何か辛いことを抱え込んだりしているのかなと思わされた。
岸本君は「フィリピン」といじめられていも何も反論せずにただ黙っていたが、家に帰ると母国に帰る友人の為に大声で歌う母を見てフィリピンの歌なんて恥ずかしいというシーンがあった。
だが、後半ホステスの仕事中にお客さんからフィリピン人だと馬鹿にされお金をばら撒かれて渡されたにも関わらず明るく振る舞っていた母親をこっそり見ていたシーンが印象深かった。
どんなに嫌なことをされても辛くても決して弱みを見せずに家族の為に頑張って働く姿は誰が見ても心に響くものがあると思う。
そして図書室の先生が誰もいない赤ちゃんのベッドの上に赤ちゃん用品を並べているシーンと
「私がいないっていったらあの子が生まれてきた意味がなくなっちゃう」という言葉に胸が苦しくなった。
一人ひとりが重たい問題を抱えているので観ていて苦しくなるシーンが多かったが、心温まる最後だった。
決して褒められることではない行動ではあるが、大切な人の為に行動した加山君と岸本君に勇気をもらえた。
誰か大切だと思う人ができると人は強くなれるんだと感じた作品だった。