【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】54 「瀕死の白鳥」「瀕死の白鳥 その死の真相」

2023年8月14日

「瀕死の白鳥」「瀕死の白鳥 その死の真相」トップ画像。チェリストと、白い衣裳を着たバレリーナ

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALL新しいウィンドウで開くの作品。

第54回は「瀕死の白鳥」「瀕死の白鳥 その死の真相」新しいウィンドウで開く です。

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『瀕死の白鳥』『瀕死の白鳥 その死の真相』

Dance Base Yokohama


この作品は日本を代表するバレエダンサー酒井はなとチェリストによる『瀕死の白鳥』オリジナル版と、

白鳥が自身の死因を踊りながら語る『瀕死の白鳥その死の真相』の2つのバレエの公演記録映像である。


チェリストが一人でステージに現れてカミーユ・サン=サーンスの動物の謝肉祭から「白鳥」の演奏を始めると、バレエダンサーが一人現れて「瀕死の白鳥」を踊り始める。


アンナ・パブロワのそれとは違い独自に生み出された瀕死の白鳥は時に力強さすら感じさせる。


面白かったのは給水から衣装直しまでステージで行われていた部分である。


時にはストレッチまで舞台上で行われていた。


そして何もなかった様にステージが再開されるとバレエダンサーは現状の想いをチェリストに説明し始める。


観客と、演じる自分との間の求めるものの違い、それは白鳥の死の瞬間のイメージであったり、場面の静と動だったりするのかもしれない。


視聴を進めていくうちに死を目の前にした白鳥の思いなのかもしれないと思った。


しかし、それすらも白鳥の思いなのか白鳥を演じるバレリーナの思いなのかはまだ分からない。


アドリブパートのような部分にところどころマイクノイズが入ってくるが、それも含めてこの舞台の面白さかもしれない。


白鳥は食べ物を吐きながら死んでいくが、元々公園で死んでゆく白鳥を題材に作られた作品、というところにたち返ると、ある意味そこにこそアンナ・パプロワへの敬意を表しているのかもしれないと感じた。


最後に小さい頃飼ってた鳥の話が出たところで、これは白鳥になりきったバレエダンサーなのだとわかった気がした。


バレエダンサーの力強くもしなやかで柔らかい踊り、伸びのある綺麗なチェリストの演奏、一流の人たちによって作られた視覚も聴覚も両方同時に楽しむことが出来るとても贅沢な作品だった。


この作品には、アクセシビリティなし、バリアフリー字幕、音声ガイド、英語字幕の4種類で鑑賞することが出来るので、様々な方が観ることができとてもアクセシビリティに配慮された作品である。


音声ガイド版ではバレエの振り一つ一つを説明している。振り付けを言葉として説明するのは難しい事だが、とても分かりやすい説明をしていた。また、音声ガイドでは全体の構成、企画意図、アーティストの紹介、見どころなども説明してくれるので、音声ガイド版を鑑賞することによってより作品を楽しむことが出来ると思う。

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