【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】59 新作音楽劇 ワークインプログレス公演

2023年12月4日

新作音楽劇 ワークインプログレス公演トップ画像。客のいないホールで舞台上にいる5人を客席から見てマイクで指示を出す人

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALL新しいウィンドウで開くの作品。

第62回は「新作音楽劇 ワークインプログレス公演チェルフィッチュ×藤倉大 with Klangforum Wien」新しいウィンドウで開く をご紹介します。

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これまでも様々なかたちで“音楽劇”に挑んできたチェルフィッチュ/岡田利規と、世界的作曲家・藤倉大。現代演劇と現代音楽、それぞれのトップランナーがタッグを組み、2023年にウィーン芸術週間にて初演を迎える作品である。俳優は歌唱とは異なる方法で、そして音楽は情景や心情を描くものとは異なる在り方で、お互いに作用することで、言葉と音楽のまったく新しい関係から新たな“音楽劇”を創り出す。

2021年11月、初演に先駆け開催されたワークインプログレス公演では、ある一つの場面の上演を通して方法論を検討・共有し、創作の基盤をつくりあげていく過程を公開した。

近年特に注目をされることの多いワークインプログレス公演。ワークインプログレス公演では制作過程も含めて作品とされる。

本作品では演技と演奏が終わる度に監督の様な人が演者とやり取りをし、次はどこをどのように演じるか話している。その様子はまるでリハーサルの様である。10分程度のシーンを何度も繰り返す。


本来見せるものでは無い舞台裏を公開するというのは一歩間違えれば未完成品を公開することになる。


パネルの様な映像に映った演奏家の演奏と演者がリンクして演者の行動がパネルの演奏家の音に引っ張られてるようにも見て取れるが、演者の動きが何を指してるのかの説明は無い。


演者5人は賃貸に関する話を延々としている。


何故かクラリネットには誰も反応を示さないが、雨が降ってきた話を始めるとパネル内の演奏者が一斉に雨音を演奏しだす。


バイオリン、ビオラ、チェロがピチカートで雨音を演じている。


この作品はテキストと音楽響き合いを重視した、言葉と音楽の関係性を更新することを「目指して」いるようだ。


新しい音楽劇とは何か?を模索しているプロジェクトらしく時にとても前衛的だったり冒険的にも見える。


ワークインプログレス公演ではワークショップを経て出来上がったシーンをロンドンへと繋げて深めていく。

パネルに演奏者の録画が映し出されるリモート共演バージョンと生演奏バージョンを比較出来るのはとても面白いと思った。


この作品は字幕と音声ガイドでも観ることができる。音声ガイドでは、1回目のパフォーマンスの時は場所の配置、俳優の説明などその場の説明に重点を置いているように思えたが、2回目のパフォーマンスの時はパフォーマンスの変化に重点を置き説明しているように思えた。


1度目と2度目のパフォーマンスを比べて見る訳では無いので、パフォーマンスの変化を見落とすことがあるが、音声ガイド付きで観ることにより、よりこの作品を楽しむことが出来ると思った。

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