【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】第60回「fragments of Tuah – トゥアの片影」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
第60回は「fragments of Tuah – トゥアの片影」 です。
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この作品は、マレーシアの人々に600年以上人々の誇りとして語られている「ハントゥア」の物語を再編集し、現代マレーシアを生きる「私」の問いを描く作品だ。
ハントゥアとは15世紀にマラッカに住んでいた戦士であり、歴史上最も偉大で最も最強の戦士とも言われている。現代のマレー文化において最も尊敬されている人物である。
そんな伝説の戦士ハントゥアの痕跡を、マレーシアを代表する現代アーティスト マーク・テ達が探し歩き、本や博物館、テレビ、映画、墓場および沖縄にあると言われている実在する痕跡まで追ってハントゥアについて解明していく作品である。
ハントゥアとは誰なのか、説明が無く、ハントゥアの事を知っている前提で進んでいくため、ハントゥアの物語を知らない人には難しい作品かもしれない内容だと思った。
私自身も最初はハントゥアって誰?と思いながら作品を観ていたので、内容がほぼ入ってこなかった。
この作品を見て印象に残ったのが、ハントゥアが友人を殺したという事だ。
この作品では深く取り上げられていなかったが、偉大と言われているハントゥアがなぜ友人を殺したのか気になり、調べてみると、
「ハントゥアが冤罪で死刑宣告をされ、実は生きていたのだが殺されたと勘違いした友人は大変なショックに襲われ、彼の仇を打つために無差別殺人をする。それを知った王がハントゥアに友人を殺せと命じ、王命と友情の狭間で悩んだ結果、友人との決闘を決意し友人を殺した。」ということがわかった。
友人も死んだと思っていたハントゥアが、自分を殺すために決闘を挑んできたのだから相当驚いたことだろう。
人生ではこういう悲しいボタンのかけ違いがよく起きる。
人はそれを「カルマ」とか「運命」という解釈で片付けるが、どうしてそうなってしまうのだろうと思わされる事が今の私にも少なからずある。
またハントゥアについては、日本の沖縄県で教育庁の協力を得て調査を行い、実在を証明したとの記述もあった。
琉球王国の史料と遺物から、ハントゥアの実在が証明されている。マラッカ王国と琉球王国との外交関係は、研究者によって信頼のおける史料として認知されている『歴代宝案』に、はっきりと記録されているそうだ。
マレーシアと沖縄(琉球王国)にそんなに近しい関係性があった事も私はしらなかったのだけれど琉球王国にも数多くの英雄伝があるらしいとの記述も目にして、「似てるのかも」などと思った。
この作品は、音声は英語。字幕はマレー語字幕と日本語字幕から選んで観ることが出来る。