【恭加の「THEATRE for ALL 」感想文】第66回「…の手触り〜こころの手触り〜 ながめくらしつ×Scale Laboratory」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
第66回は…の手触り〜こころの手触り〜 ながめくらしつ×Scale Laboratoryです。
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この作品は、「ながめくらしつ」と「Scale Laboratory」のコラボレーション作品である。
「ながめくらしつ」はジャグリングと音楽を軸とした詩的な独自の世界を作り上げる現代のサーカスカンパニーである。
また、「Scale Laboratory」は役目を終えた施設や、使われていない場所などに一時的に活動の場としての舞台を作り上げ、さまざまな芸術にかかわる企画をたちあげている。
ダンサー、人形、人形使い、そして音楽家による生演奏によって作り上げる、「変化と選択」をテーマにした作品である。
こころとはどのような手触りなのか問う作品だ。
音声ガイドでは会場に向かう道から既にナレーションがスタートして臨場感を高めてくれる。
この作品を何度も鑑賞したが、問いであるこころの手触り、変化と選択についてピンと来なかった。しかし、この作品は音楽性が高いように感じた。
ピアノのチェロの音数の少ない演奏がとても気持ちいいというのが最初の印象だった。
初めはダンサーが1人で蜘蛛の巣の様な複雑に絡み合う紐の中で踊るシーン。そのシーンの最後は蜘蛛の巣の様な紐のセットが崩れ、その中にダンサーも巻き込まれる。
私なりの解釈だが、このシーンは生まれる前のお腹の中をイメージして作ったシーンのではないかと感じた。
シーンが変わり、次は人形使いが袋の様なものの中から白い布の切れ端の様なものと一緒に人形を取り出した。このシーンは恐らく出産を意味する。そして最後は動かなくなる。作品を通して人間の一生を描いてるように見えた。
そして、人形使いの動かし方によって人形に心が出来ているのがわかった。
人形だから表情に変化は一切無いが、人形の顔を少しずつ動かすことによって人形の視線を作り、それが表現の1つになっていた。
また、人形の立たせ方、重心の置き方ひとつで人形に命が吹き込まれていた。
ダンサーと人形が同じ踊りを踊るシーンが、ある程度の速さであるのに、ダンサーはもちろん人形も一つ一つの振りが丁寧で、動きが柔らかく見えたのが1番印象に残っている。
この作品はオリジナルの他、日本語音声ガイド版でも鑑賞することが出来る。
客観的な音声ガイドというより、その場に居合わせた体験をイメージして言葉にしたとこの作品の演出家が話していた。
この音声ガイドはこころの手触りというパフォーマンスを観にやってきた。から始まり、出演者の紹介、会場の場所の説明、会場の中の環境の説明があり本編に入る。ただ説明するだけでなく、観客の体験を説明しているのでその場に行って一緒に体験している気分になることが出来た。