【恭加の「THEATRE for ALL 」感想文 番外編】厨房のありす 9話 「勇気をくれる大切な人」

2024年5月27日

キッチンイメージ写真 洗いあげた鍋、皿、コップ類

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

2024年1月~3月に日本テレビ系で放送していた「厨房のありす」新しいウィンドウで開くの感想文。

今回は第9話です。

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この作品は街の小さな料理店「ありすのお勝手」を中心に生きづらさを抱えた人々が織り成す少し切なくて暖かいハートフルミステリーである。


25年前、ありすの母は職場である五条製薬での火事で亡くなった。事故だとされていたが放火であり、誰かが意図的に殺したのではないかという衝撃的な情報がありすの耳に入る。


25年前の五条製薬の火事と、倖生の父に横領の罪を着せた横領犯が同一人物だという疑いが浮かぶ。当時五条製薬で働いていた心護を疑い始めたありすは倖生と一緒に事件の真相を探るために、火事を境に五条製薬から離れた温田に会いにいく。


温田には門前払いされるが、後日ありすのお勝手に来てくれて火事について知っていることをありすと倖生に話す。


火事があった日、研究室に本来置かれているはずがない薬品が置かれていて、それが原因で火事になった。その薬品を研究室に持ち込んだ人が犯人ではないかと予想する。


研究室に入ることが出来たのは被害者であるありすの母、ありすの母の姉、ありすの育ての親である心護、ありすの実の父、倖生の父、そして今回情報を提供してくれた、火事を境に五条製薬を離れた温田。


ありすに近い関係の人達ばかりで、誰が犯人であっても辛い事実であるが、その薬品を発注したのが心護だという証拠が見つかる。


ミステリー要素が一気に強くなって、本来の生きづらさを抱える人達という部分が見えにくかった。今まで障害者が主人公になっている作品では、障害者への差別やそれによって起きる事件や、障害者の特性を広めようとするものが多いイメージだ。

この作品は最初の方こそASDの特性に焦点が当たったりていたが、ありすの悩みが障害者でなくても直面する悩みであったり、障害者、LGBTQが出てくる日常の様子が描かれていたりする点が、これが多様性が重視される世の中でのドラマなのだな、と感じた。

このコラムを書くことをきっかけに、ドラマで障害者を題材にするものは増えたが、脇役に障害者が当たり前のように出てくるドラマはあまり見かけないことに気づいた。障害者が主役ではなく脇役としてストーリーに溶け込んでいたら、ドラマとしての世界観が現実に近く障害者にとっても健常者にとってもリアリティを感じられるようになるのかもしれないという話を聞いた事がある。


現実社会では日常の中にいろんな人たちがいてすれ違ったり交わったりしてまた離れていく。

いつかドラマの中もそんな時代が来るのではないだろうかと思ったりもした。

ドラマの放送は終了しているが、この作品はHuluで全話観ることができる。


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