【寺島ヒロアドバイザーコラム】1「自己紹介」 

2021年11月22日

寺島家の家族4人が描かれたイラストです。コラムを書いている寺島ヒロが右手を上げてあいさつをしています。その背後に、若い男性、少女、男性がおり、それぞれに矢印で、息子、娘、夫もいますと書かれています。

はじめまして、漫画家・デザイナーの寺島ヒロです。

4コマ漫画や、医療や福祉の解説漫画を主に描いています。


1996年のデビュー以来、ずっと出身地の大分に住んでいましたが、自閉症のある息子の進学のため、3年前大阪にやって来ました。この21歳の息子の他に、同じく自閉症の14歳の娘もいます。また、自分自身もASDがあります。


これまでの経歴は、デザイナー、地方自治体の臨時職員、中学校教諭(美術)、漫画家アシスタント、漫画家、WEBデザイナーなど。


漫画家歴は一応25年です。実は10年目あたりで一度引退しています。


当時、わたしは青年誌で複数連載を持っており、事務所を構えアシスタントも抱えて忙しく働いていました。しかし、2人の自閉症児を抱えての生活は常に時間との戦い。やっと子どもたちが揃って寝ても、落ち着いて仕事ができるような心境ではなく、毎日が締め切りとのチキンレース。疲労は蓄積し、締め切りも延びるだけ延ばしてもらうような体たらくでした。


そんなある日、本に書いてある文字が読めなくなってしまいます。病院でもらうプリントなども目で文字は追っているのですが、全く頭に入ってこないのです。すぐに頭の中でストーリーをまとめることもできなくなり、漫画の仕事も続けられなくなりました。


今思うと、ここまで追い込まれないうちに、どこか福祉の窓口などに助けを求めれば良かったのかもしれません。しかし、その時のわたしは誰も相談しなかったし、本やネットで情報を集めたりもしませんでした。なぜなら「少しでもやることを減らしたかった」からです。


現在では発達障害のこともかなり分かってきて、国や地方自治体で用意されている福祉制度も増えてきました。ですが、多くの福祉は障害のある当人がアクションを起こさないと手に取れないようになっています。


本当に大変な時に、人は周りを見回さない。そんな余裕はないんです。

困っている時に、困っている人に必要な情報を届けるためにはどうしたらいいんだろう…少しずつ回復してきたころ、わたしはそんなことを考え始めました。


わたしが出した答えは「漫画を描く」ことでした。

疲れて文字が読めなくなったとき、それでも最後まで読めていたのは、日本が誇り、わたしが愛してやまない漫画だったからです。


難しい専門用語が多い文章や、抜け漏れなく記載するために回りくどくなっている文章でも、漫画ならスッキリまとめて表現できるんじゃないか?

……実際は始めてみると大変だったのですが、そう考えたわたしは、「読んで負担にならない、わかりやすい医療や福祉の解説を描こう!」と決めました。


(作品例)

●ボクの彼女は発達障害(くらげ氏との共著)

●発達障害子育て絵日記うちのでこぼこ兄妹

●認知症の人は何を考えているのか?(イラスト・漫画パート担当)


そういう経緯で、なんとか今では「難しい文章をわかりやすく」「当事者の方にも読んでもらいやすい」漫画を描いて、仕事にさせていただいています。


サニーバンクさんでは、そこからもう一歩進んで、「当事者の方に既にある福祉制度やサービスにどうやって到達してもらうか」「どのような制度にアップデートすればより使いやすくなるのか」などについて、実際にアイデアを出しつつ、皆さんと実現可能性を探っていきたいと考えています。


作る側と使う側、どちらにも被っているという変わった立ち位置ですが、ここにいるから見えてくる景色もあるように思えます。これから少しずつ発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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