【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】15 映画「カランコエの花」
こんにちは。恭加 (きょうか) です。
恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。
15回目の今回は、映画「カランコエの花」をご紹介します。
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この作品はLGBTを題材に作られた作品である。
観客に対するリアルなメッセージとして感動を与え、国内映画祭でグランプリ6冠を含む計13冠を受賞した作品だ。
主演は若手女優として注目されている今田美桜が務めている。
当事者をメインに描かれたのではなく、周囲にフォーカスを当てた作品である。
高校二年生の主人公、月乃のクラスでLGBTについての授業が行われた。
だが、他のクラスではLGBTについての授業は行われておらずクラスのお調子者の男子は、
このクラスにLGBTの人がいるはずだから、と 探し出そうとする。
LGBTについての授業が行われた日からクラスに変化が起きていく。
そして月乃の仲良し4人組の関係も変わっていくことになる。
たった5日間の話だが、その5日間で変わりゆくクラスの話だ。
もし自分の友達がLGBTだったらどうするのか、思春期である高校生のリアルな日常が写されている。
前半の月乃と友達が話すシーンや授業中のシーンは高校生のキラキラした雰囲気が出ていて、観ていて自然と笑顔になった。
LGBTの人がクラスに居るとわかった時から友達同士の関係がよそよそしくなったり、後半になるにつれシーンが暗くなる。
前半と後半で対比があるからこそ後半のLGBTについてという作品で最も伝えたい事が際立っていた。
LGBTについて周囲にフォーカスを当てた作品であるため、周囲にいる人がとても考えさせられる終わり方であり、問題提起型の作品だった。
そして、役者さんの演技がとても自然でよりリアルだった。
また、最後には同性を好きになりどういう反応をされるかわからないから思いを伝えられない当事者の葛藤や、好きな人には理解して欲しい心情も映されている。
少しずつLGBTという言葉が広まってはいるが、まだ偏見を持っている人が多いのは事実だ。
男の人は女の人と付き合って結婚する。
女の人は男の人と付き合って結婚する。
小さい頃から学んできたロールモデルを壊し、根本的な部分から思考を変えていかないと偏見を完全に無くすのは難しいと思う。
当事者の精神的苦痛や苦悩を100%わかることはできないから、人には理解することができない苦悩がある事をせめて理解したい。
そして、ネット社会でなんでもとことん知ろうとする世の中だけど、理解したくてもできない事や悩みは存在するんだと知るともっと優しくなれる気がした。
また、この作品は音声ガイドと日本語字幕、英語字幕で観ることができるので視覚障害者や聴覚障害者、外国の方も観ることができる。
音声ガイドは制服の色の説明まであるので、聴いていてシーンの想像がしやすかった。