【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】18「四万十 いのちの仕舞い」

2022年4月11日

民家の一室で診察をする白髪の男性医師。話をするパジャマ姿の患者さん

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

第18回は四万十 いのちの仕舞い感想です。

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この作品は高知県四万十市でいのちに寄り添う医者の小笠原望さんの訪問医療を追うドキュメンタリーであり、いのちの大切さについて問う作品だ。


小笠原さんは在宅医療でいい仕舞いを作ることを一番大事な仕事としている。

いい仕舞いについて小笠原さんは

「自然の中に生まれたものは死ぬ。自然の中のいのちであり、いのちの流れに逆らわない。

死に方をどうやって覚悟をしていくか。

家族の覚悟、本人の覚悟。覚悟があり、自然に任せると最後の日まで食事ができ、最後の日までみんなと話すことができる。

それで、あれ?と思ったら息が止まっていた。これがいい仕舞いだ」と語る。


このドキュメンタリーも、在宅医療のシーンが使われており、

小笠原さんの患者さん一人ひとりと向き合う姿勢が映っている。

患者さん一人ひとりとしっかり会話し、患者さんからもその家族からも信頼を得ているのが印象的だった。

患者さんのお家に訪問する際、家族にとても馴染んでいて小笠原さんの人の良さがでていた。


この作品では、主に三人の患者さんを診ているシーンがある。

その中の1人である嶋﨑さんという在宅医療の患者さんが、在宅医療を始めた時は散歩をする日もあったり、小笠原さんと冗談話を活き活きと話していた。

だが、少しずつ顔の色が悪くなっていき、活き活きとした表情は消え、

最後はあまり話すこともできなくなっていた。

最後に小笠原さんと会った日、自分の最後が近づいていると覚ったのか

嶋﨑さんは少しでも長く小笠原さんに居てほしいと伝えたそうだ。

その4日後、嶋﨑さんは眠るように亡くなった。

ずっと暮らしてきたお家で、家族に看取られ眠るように息を引き取る。

小笠原さんが言っていた”いい仕舞い”というのはこういうことなのかなと思った。


私のおばあちゃんも、亡くなる前入院していた時、よく「家に帰りたい」と言っていた。

最後にお家で家族と過ごせるというのがやはり幸せなんだろうなと思った。


最後の一日まで必死に生きようとする姿、周りの家族の支え、いのちとは何か考えさせられる作品だと思った。

いのちと死はとても近いところにあるものだが、この作品は死に対してのダークな部分ではなく、いのちに対しての暖かい部分が描かれている作品だった。


また、この作品は、人の命と四万十川のアユ、シラスなどの魚や

短い期間しか生きられない蛍と人のいのちを重ねているシーンがあり、四万十の風景と共にドキュメンタリーは進んでいく。


そしてこの作品には、オリジナルの他に音声ガイドもある。

音声ガイドは細かく画面に映っているもの、何が起きているのか説明がわかりやすかった。


小笠原さんは患者さんと会うと必ず「痛くないですか?しんどくないですか?」と聞いていた。

そんな一つ一つの言葉に小笠原さんの優しさが溢れていると思った。

また、小笠原さんは患者さん一人ひとりに寄り添い、医療と関係のない雑談をし、患者さんの心を開いていた。

患者さんも小笠原さんに診てもらえること、会えることを嬉しそうにしているのが印象的だった。


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