【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】19「消しゴム山」「消しゴム森」

2022年4月18日

消しゴム森イメージ 右側に大きな赤いボールを支える2人の人。それを見つめる後ろ向きの人。両手に棒を持つ人。左下に後ろ向きに座る人

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

第19回は「消しゴム山」 「消しゴム森」感想です。

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この作品は、モノと人との「きょうえん」の演劇である。

一緒に演じる共演、

競うように演じる競演、

パーティーをするという饗宴。

3つのきょうえんの作品である。


「消しゴム山」は劇場で演劇をしているのに対し、「消しゴム森」は美術館で演劇をしている。

同じコンセプトであるが、異なる空間で展開されている。


物語は3つに分かれて構成されている。

1つ目は、ある男性の家の洗濯機が壊れる話。

2つ目は公園にタイムマシーンが現れ、時間についての話をする。

3つ目は残念な人間たちの幽霊の話。


10数年使っていたドラム式洗濯機が壊れて、洗濯機との思い出を語っているうちに、

壊れた洗濯機を手放すのが惜しくなり、自分の寝室に運んでもらう。

今まで働いてくれた洗濯機への愛情が語られるのが印象的だった。


モノに対して愛着があったとしても、壊れて使えなくなったモノを、

しかも洗濯機のように大きなモノを捨てずに寝室に置くという発想が無かった。

この作品では、人とモノが対等に扱われている。

そのように見ていくと、洗濯機が友達のようにみえた。


私たち人間は、時間に追われ、時間がない世界のことを知らない。

だが、モノの世界には時間など存在しないのかもしれない。

モノは普段何を見て何を感じて生活しているのだろう。

そう考えるだけで、モノに対する意識が変わっていく。


この作品は、東日本大震災の復興工事から作られた作品である。

工事の際、かさ上げという堤防などを今よりも高くする作業がある。

その作業の土を賄うために山を使い、山が一つ消えた。

これをみた演劇作家の岡田さんは、人の都合によって山が無くなったことが

ショックでこれはやっていいのか、本当にこれでいいのか、と考え、

この衝撃から何かを作りたいと思って作ったのがこの作品だ。


劇場の方は、モノをたくさん並べて公園を表現したり、

美術館の方は、プロジェクターの様なもので、登場人物を

映像として映して演劇をしていた。

モノをたくさん並べて公園を表現を見て、小学校の時の図工の作品のようだと感じた。

型にはまっていない、自由な発想で、みていてワクワクするものがそこにはあった。


登場人物が人なのか宇宙人なのか、それ以外の何かなのかわからなくなったり、

全てのセリフが、普段あまり会話で使わないような遠回しの言い方だったり、

世界観も今まで観たことないような、地球なのかもわからないような世界観だったりするので、

内容を理解するのは難しいと思った。

モノと人との関係性を伝えようとしているのはわかるが、

その裏でどんな意図があるのか、ひとつひとつのセリフの意味を理解するのは

難しいと思った。


また、この作品では、日本語字幕と英語字幕がある為、海外の方も、耳が聞こえない方も楽しむことができる。

そして音声ガイドは無いが、この作品自体モノや空間についての説明が丁寧すぎるほどあるため、目が見えない方も楽しむことができると思う。


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