【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】17「Waltz」

2022年4月4日

Waltzイメージ写真。目鼻がついたウィンナーが格子に手をかけている。

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

17作品めはWaltzの感想です。

パスタやウインナーたちが出演しています。


なお、このたび、「Waltz」が28thキネコ国際映画祭 国際審査員 日本短編グランプリを受賞されました。

おめでとうございます。

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この作品は、パスタの国に紛れ込んだウインナーの物語だ。

食品倉庫あるパスタの国に迷い込んだウインナーは、9番の番号札のついた9人兄弟の末っ子である。

パスタのラビオリと仲良くなりラビオリからパスタの洋服をもらう。

だがそこに住んでいる子どものマカロニ達は色や形が違うと「ここからはいってくるな」とのけ者にしていた。

また、スイーツの舞踏会ではベーグル等の総菜パンを「スイーツではないから」とのけ者にしている。

そこでパスタの長老は同じ小麦同士は仲間外れをしてはいけない。姿かたちが違くとも同じ麦の仲間だと唱える。

ウインナーはパスタの洋服が脱げてしまい、どこかの国の囚人だと間違われ牢屋にいれられる。

牢屋の中で床に転げていたスパゲッティが頭に刺さり、缶の中に入っている雨水につかるとスパゲティがふやけ、スパゲティが前髪のようになった。

そのおかげで裁判で麦だと勘違いされ、小麦の国に居ることができた。


この作品の最も伝えたかったことは「仲間外れはだめだ」という事だ。

パスタもパンもスイーツもビールも、同じ麦の仲間だから仲間外れをしてはいけない。

だが、そこの境界線は麦でありこの作品では麦以外は仲間外れであり不審者扱いをされてしまう。

ウインナーも自分がお肉だと隠し、最後まで麦だと勘違いされパスタの国に居ることができた。

一見みんなが仲間の様に見えるが、そこには麦という大きな境界線があり「仲間外れをしてはいけない」という言葉に矛盾を感じる。

あえて矛盾を感じさせ、観ている人に「仲間外れ」について考えてもらう作品ではないかと思った。


テーマがはっきりしていてわかりやすく、小さいな子供が見てもわかりやすい。

自分と色や形が違うマカロニを仲間外れにするシーンをみて、小学校である仲間外れの様にみえ、人間の世界の仲間外れを食べ物で表しているのだと感じた。

仲間外れにするマカロニたちは、誰かを仲間外れにすることで仲間とに絆を深めようとし、

スイーツたちは総菜パンを仲間外れにすることでスイーツ社会を守ろうとしている。

そんな大人社会を見て、子供のマカロニ達も真似しているのかもしれない。

大人たちが姿勢を変えて接し方を見せないといけないと思う。

子どもがこの作品を見て、学校で仲間外れがあったとき、ダメだとはっきり言える子が増えるといいなと思った。

そして、世界観が食べ物であるので重くならずに観ることができるのが良かった。


この作品はオリジナルの他に英語字幕と音声ガイドがあるので、海外の方や視覚障害者も観ることができる作品である。

だが、英語字幕はあるのに日本語字幕が無いことが不思議だった。音声ガイドやオリジナルにも字幕はなく、聴覚障害者は英語が理解できないとこの作品を観ることができない。

また、音が出せないところではこの作品を観ることができないと思った。


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