【恭加の「 THEATRE for ALL 」感想文】番外編「~落合陽一総合演出『日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu 2021』全編配信~」

2022年3月30日

日中韓芸術祭2021inKitakyushu トップ画像 正面を向いた女性、舞台上を歩く女性たち。「日中韓芸術祭2021inKitakyushu」の文字。

こんにちは。恭加 (きょうか) です。

恭加がご紹介する、バリアフリー オンライン劇場THEATRE for ALLの作品。

今回はTHEATRE for ALLのコンテンツではないのですが、

番外編として ~落合陽一総合演出「日中韓芸術祭2021 in Kitakyushu 2021」全編配信~の感想を書きます。

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「日中韓芸術祭」は、日本・中国・韓国の優れた伝統文化と現代の芸術的発展の成果を紹介することを目的に、3カ国の政府の共同事業として毎年開催している芸術祭である。

2014年以降、毎年3カ国の伝統文化と現代の芸術的発展を紹介すべく、大臣会合主催国(東アジア文化都市開催都市)において開催される。

2021年の芸術祭は、新型コロナ感染症拡大の影響により、オンラインで開催された。

メディアアーティストの落合陽一さんの総合演出により、日中韓3カ国が共同してバーチャルファッションショーおよびトークセッションの映像を制作。


落合さんは、リモートで何ができるかと考えた時に、文化庁の方々から

「ファッションショーをやってみたら?」というお題をいただいて、

「じゃあ、やりましょう」という事になったそうだ。


始めにポイントとして、

「昔、ナムジュンパイクというメディアアーティストがstationary nomad(ステーショナリー・ノマド)という言葉を言っていて、

日本語に直すと”定在する遊牧民”という意味だが、世界中の電子のキャンバスがあって、世界中に映像装置があってそこで映像表現をすることができれば人間は石油を使わずに想像的な活動を世界中でし続けることができる」

と話していた。


今日、大体そういうことが可能になってきて、コロナの後デジタルが入ってきて、サステナビリティの為に何ができるのかを考えてやっている。

3カ国の文化の根底にあるサステナブルな思想をファッション、そしてアートに通じて表現したバーチャルファッションショーを楽しんでほしい。と語っていた。


このファッションショーはただのオンラインのファッションショーではなく、モデルウォーキング映像を3DファントムというLED光源がライン状についたブレードを高速回転させ、光の残像によってインパクトのある3D映像を肉眼でも体験することができる3Dホログラムディスプレイを使っているので専用メガネをつけずに、目の前に3D映像を浮かび上がらせることができる。


バーチャル機能を使ったファッションショーはとても画期的で、光の中を歩いているように見えたり、水面の様な場所を歩いている様に見えたりした。

アートに通じて表現したと落合さんが話していたが、映像が幻想的でとても綺麗だった。

ファッションショーは本来洋服を見せる場なのでこうやってアートに通じて、演出にここまで力をいれているファッションショーは初めて見た。

暗闇の中をモデルが歩く演出はドレスがより色鮮やかにみえた。

そして、モデルとしてこんな舞台に立つのはどんな気持ちになるのかとても興味深い。


このYouTubeでは始めにファッションショーの様子が写され、その後落合さんとファッションショーに関わる方が対談をする。

そして、最近よく耳にする「サステナビリティ」という言葉がこのファッションショーのキーワードになっているが、私はサステナビリティについて深く知らず、伝えたいことの真意を探るのに苦労した。

サステナビリティとは持続可能性を意味するという事は調べるとすぐにわかったが、

”何を”持続可能にするのか。地球環境なのか経済なのか、その対象となるものを理解するのが難しかった。


韓国のデザイナーのイムさんは、

「制作過程での廃棄物を減らすことで機能するデザインがファッション界に持続性をもたらす」と話していた。

制作側の立場だとなるべく廃棄物を出さないことがサステナビリティの一つの方法である。

では、消費者の私たちはどうすればいいのだろう。

私は普段高い洋服を長く使うのではなく、安いものをたくさん買ってワンシーズンしか着ないことが多い。

毎シーズン流行は変わるので、同じものを長く使うことはあまりない。

今回、動画を見て、私の服の買い方は地球に優しくないおしゃれの仕方だったのだと思った。

サステナビリティではなくエコの話になってしまうが、

これからは”いいものを長く使う”ということをできるだけ取り入れておしゃれをしたいと思った。


”定在する遊牧民”というキーワードと「サステナビリティ」というキーワードは落合さんにとって同意語であり、「遊牧する民」が居ながらにしてどう空間を移動したり交差をしたりするのか。

それをバーチャルな世界で体現してみている。

とはいえ実際はそれぞれのモデルやスタッフは各国で作業(遊牧)しているとも言えて、最低限の定在で遊牧を実現する試みにもなると思った。

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